2008年06月23日

子失った母ザルと孤児のサル 仲良し「親子」に

SEB200806210024.jpgテンテンの乳を吸うタクマ=大分市の高崎山自然動物園

 子どもを亡くした母ザルが、群れからはぐれた別の子ザルの里親に――。そんな義理の母と子が、大分市の高崎山自然動物園で人気を集めている。推定20歳のテンテンとオスで1歳のタクマ。ニホンザルが血のつながっていない子の母親代わりになるのは「非常にまれなケース」と専門家は話している。

 園内の餌場で、タクマがテンテンの胸に顔をうずめ、お乳を吸っていた。「甘えん坊なんですよ」と、案内係の種村将さんが目を細める。2匹の姿は親子そのものだ。

 タクマは昨年12月、生後4カ月で群れからはぐれた。1匹だけ園内に取り残されているのを職員が見つけた。翌日に若いメスザルがタクマを連れていったが、森の中に放置。タクマは飢えと寒さで衰弱して倒れていた。

 「このままでは死んでしまう」。職員はタクマを保護し、世話をしてくれるメスザルを探し始めた。でも、どのサルもタクマにまったく反応を示さない。邪険に追い払うサルもいた。独りぼっちのタクマは園内を所在なげにうろつくようになった。

 子どもを亡くして日の浅い母ザルに狙いを絞った。目の前でタクマをつつき、鳴き声をあげさせ、母性本能をくすぐる作戦に出た。すると、1カ月前に子どもを亡くしたテンテンが職員を威嚇し、駆け寄るタクマをお尻に乗せて山へ帰っていった。

 それから半年。2匹の仲むつまじい様子は変わらない。テンテンの愛情を受けてタクマの体力はすっかり回復。「たくましく育ってほしい」という思いでつけられた名前の通りに成長した。

 大分市高崎山管理委員会の委員を務める杉山幸丸・京都大名誉教授(霊長類学)は「自然界での育児放棄は考えられず、毎年多くの子ザルが生まれる高崎山ならではの珍しい事例だ」とみる。「子を失ったメスザルに子どもを求める欲求があったから、『親子』になれたのでしょう」(神庭亮介)

2008年6月23日1時27分 asahi.com
posted by obaco at 01:27| いきもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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