2006年07月10日

ジダン、頭突きで退場

20060710-00000017-spnavi-spo-view-000.jpg ワールドカップ決勝の延長後半5分、マテラッツィに頭突きを食らわせ、レッドカードを受けたジダンは退場処分となった【(C)BPI】

 ジネディーヌ・ジダンは、ワールドカップ(W杯)決勝でイタリアのマテラッツィから侮辱を受け、感情を抑え切れず、自身の引退を早めることになってしまった。主審を務めたエリソンド氏は、ジダンにレッドカードを提示するよりほかなかった。

 詳しい事情は明らかにはなっていないが、フランス代表のキャプテンであるジダンは、延長戦終了まであと10分というところで、マテラッツィの胸に頭突きをしたことで退場となってしまったのだ。

 ジダンが最後に見せた攻撃は、フランスを勝利に導いていたかも知れなかった。退場となる6分前、延長前半14分に右サイドのサニョルへ出したボールからセンタリングを受けて、ペナルティーマーク地点からヘディングを放った。フランス全土が1998年大会の再来を願ったが、シュートはGKブッフォンが片手ではじき出した。過去の名選手と同様に、ジダンも現役最後をW杯優勝で飾ることはかなわなかった。運命と、マテラッツィがその夢を砕いた。

 延長戦の「悲劇」までは、ジダンは堂々たる幕切れを演出するために全力を尽くしていた。前半7分にPKを得て、GKの動きを読んで、ふわっと浮かせたゴールを決めた姿は忘れられない。生涯で最も重要な2試合のうちの1試合で見せたこのプレーは、彼がチャンスに強い選手であることを証明した。ジダンが司令塔ならば、フランスチームに悪いことは起こらないように思えた。だがその早すぎる退場が、チームには致命傷となった。フランス代表ドメネク監督は、この悲しい結末に「ジネディーヌ(ジダン)を最後に欠いてしまって残念だ」と失望を隠せない様子で言った。

 今大会で、ジダンはリーダーとしての役割をはっきりと示した。本来はあまり感情を表に出さないタイプだが、チームメートを率いるために、あえて強さを見せた。決勝戦でも、前半終了間際にチームが失速していると見ると、グループリーグのスイス戦で見せたように、ジダンは皆を激励し、団結させた。そして後半に入ると、フランスは魔法にかかったように変ぼうした。突破力を増したアンリをはじめ、皆が生き生きとしたプレーを見せて、フランスが後半で勝負を決めるかと思われた。

 最後の大舞台で観客をうっとりとさせ、ジダンは所狭しとピッチを駆け回った。だが試合終了まであと10分ほどの時点で、サポーターは息を飲んだ。カンナバーロとの空中戦で衝突し、フランス歴代得点数で第4位の地位を手に入れたジダンは肩を痛めてしまう。その表情からは痛みは分からなかった。負傷しながらも、ヒーローは立ち上がる。サポーターの声援が降りかかる。そして歴史は続いた。わずか28分ではあったが。

 28分間、フランス2度目の優勝への期待は続いた。攻撃は実らず、ビエイラを負傷で欠くことになっても、ジダンは自分自身と6000万人の同胞のために夢を追いかけていた。だが、あれほど愛され称賛を受けたヒーローは、ただ1人退場でピッチを去ることとなった。もう1度ジダンの手に落ちることのなかった優勝カップの脇を通り過ぎて。悲しい結末だ。

(スポーツナビ) - 7月10日14時18分更新
posted by obaco at 14:18| WC2006 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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